スクールHIGH!
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一年目・開始

  誰も口にしないが、その実、雲雀恭弥と六道骸はよく似ていた。
 サディスト入っているところとか暴力的なところとか。結局行動の理念になっているのは自分の意思でエゴイストの面を強く持っているとか。共に、夜とか黒とか、そんなものが似合う容姿をしているのも理由の一つだ。
 彼ら二人の中学校での生活ぶりを知るものも中にはいた。入学式で暴力事件を起こしたのは、雲雀恭弥の方だった。六道骸を知るものはちょっと意外に思う。
 その六道骸の初登校は次の日だ。堂々入学式を欠席したわけだったが、当人は気にした様子もなくクラスに足を踏み入れた。入学式一日目にして雲雀恭弥に掌握されてたりした学級は、骸の出現によってさらなる混乱に陥る――主に、一年A組の生徒と担任にとって、地獄の日々が始まった。六道骸は、当然ながらその状況を気に喰わなかったのである。
 二人は幾度となく殴り合い、ついには雲雀もクラスを掌握することを放棄した。
 骸を攻撃することに全神経を集中させた。骸も然り、である。
 そうして上級生にまで一年同士のケンカが知れ渡り、並盛高校の名物……決して良い意味ではなかったが……、になるころには半年が経っていた。
 教師連中ですら恐ろしくて口を挟めない最低学年同士の争いは、だがしかし、集結するときには素早かった。
「結局、君しかいないわけね」
 頬を真っ赤に腫らし、ぎらぎらと野獣の目をしたままで雲雀は呟いたという。
「実に不快ですが……」
 彼の胸倉を掴みながら、六道骸もニヤリと歯を見せた。
「僕にここまで喰らいついてきたのは、恭弥が初めてですよ」
「フン。馬鹿だね。僕も骸みたいなの初めて見たよ」
 骸の口角には血がにじむ。
 呆れた声と一緒に、雲雀は、彼の後頭部を掴んでいた指を離したという。骸も手を離した。
 この顛末は、意外といえば意外で、当然といえば当然だった。
 実のところ、粗暴で凶悪で誰の手にも負えなくて、自分の本音を他人に絶対洩らさない、おまけに力で全てをねじ伏せたがる傾向にある彼らはウラを返せばものすごく意気投合する可能性が大きかった。そんなわけで、争いに飽きた二人は、翌日からつるみはじめた次第である。
 周囲にはイヤミの応酬をにしか聞こえなかったり、殴りあう数秒前のように見えたりもするのだが、当の二人は、相手を学内で最も自分に近い存在と認識しているらしかった。雲雀恭弥の傍に人がいるとしたら六道骸、六道骸の傍に人がいるとしたら、多分、雲雀雲雀。
 そう言われるくらいになって、最恐の二人として忌避されるようになって、さらに半年。
 二年目を知らせる始業式に、その少年はやってきた。



一年目・終了

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