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冷えたものに触れる時、俄かに緊張する。
その氷の温度から別のものを連想するからだろうか、他人事のように思いながら、胸元まで拳銃を引き上げた。
新たなカートリッジを装填して、引鉄に指を乗せる。的を探して部屋を行ったり来たりとして、机に立てかけたままの写真に気がついた。遠い日、皆で、海辺で撮ったもの。
腕を伸ばしかけて、しかし、やめた。
片目が疼く。何かが、痛みながら嘆いている。彼はゆるく頭を振った。どく、どく、肩と心臓が鼓動する。夜明けがやってくる。夜から朝への移り目。
その瞬間、世界は蒼くなる。目が痛くなる。頭が痛くなる。
またたきのような短さの蒼い世界。
またたきのような日々だった。
もう、二度と繰り返せない日々だった。
窓に手のひらを乗せる。また、氷のように冷えていた。それでも握りしめた鉄の塊だけは離せなかった。決めた。決めなくちゃならなかった。決めただけで終わりでもなかった。これから、動き出さねばならない。
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