昏い浅瀬よりあゆみだし、

 校門をでた。
 すぐ隣を歩いてた、ヒバリさんが足を止めた。
 乾いた笑いしか返すことができなかったから、気分を損ねたのかとドキリとした。でもそうじゃないようだ、ヒバリさんの黒目は、釣り上がって電柱の下に佇む影を凝視していた。
 黒曜中に戻ってきて、今はボンゴレの観察下にある少年が立っていた。
 肩で黒いカバンをさげてるから、下校途中だ。わざわざ並盛まで出向いてくるとは、またリボーン絡みなんだろう。アイツは、黒曜の三人にあれこれと指示をだしてる。
 六道骸は、神妙な眼差しをヒバリさんに返した。
『君は……』と、二人の声が重なる。
 骸とヒバリさんが鉢合わせになるのは、事件以来はじめてだ。
 あたり一帯が炎上する事態にはならないといいな、なんて、途方もない考えが過ぎったけど杞憂だった。
 二人は、お互いを執拗なくらいに眺めまわすだけだ。チラと骸がオレを見る。ヒバリさんもオレを見た。
 彼らは眉間を皺寄せた。無言で背中を向けあう。ヒバリさんは取立てがあるって言ったのにガッコウに。 骸は、オレを待ってたらしかったのに、隣町へ。そうしてオレだけが取り残された。呆気にとられてしまった。
 もっと、こう。反応があるかと、思った。低いところに落ちた夕日が、二人の影とオレの影とを、細長くコンクリートに縫い付ける。胸に穴ができたようで、肌の内側がザワザワとした。

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